『古典力』〔齋藤孝著、岩波新書(新赤版)1389〕を読みました。
この本は、「マイ古典にしたい名著50選」(第3章)としてオススメの名著・古典も示してくれているのですが、類書には見られないのが、「古典を読むための10か条」(第1章)です。古典を読んで身につけるためのコツを教えてくれています。
その中でも、私が一番反応したのが、第2条「引用力」です。
スピーチやブログに、古典からの引用文を組み込めば、質が上がるよ、という文脈の中で語られた部分に目が留まりました。
<以下、ネタバレを含みます>
「『好きな文を選ぶ』という作業は、自分と本(著者)とを関わらせる意識を高める。
『なぜほかの文ではなく、その1文なのか』、『なぜ自分はその1文から刺激を受けたのか』と考えると、本の理解とともに、自己理解も深まる。」(13頁)
世界の名著・古典ではないですが、最近の私の本の読み方が、まさにこれだなと、膝を打った次第です。
私、今年(令和4年)の6月に、このホームページを開設し、エッセイを書き始めたことで、本の読み方が変わりました。
2~3年前から、年間60冊程度、本を読むようになっていました。
感動することも、面白いと思うことも、もちろんあったのですが、今から思えば、読後の感想は、ぼやっとしたままで貯蔵され、沈殿していくような状態でした。
けれども、エッセイを書き始めてからは、自分が感動したり、面白いと思ったりしたら、その本をどうエッセイで取り上げるか、を考えるようになりました。
そして、薦める手法として、小説等の1節を「 」で引用したりもしています。
齋藤孝さんの言うように、エッセイで引用した本は、「自分の考えのこの部分を支えてくれる本」というように、結びつきの強い本になっています。
エッセイを書き始めたことは、読書に深みを与えてくれました。
自分の人生にとっても大きな出来事なのだと思います。
これからも、楽しく本を読みながら、丁寧にエッセイを書いて行こうと思います。
※ 本の1節を引用しているエッセイの代表的なものはこちらです。
もしよければ、お読みください。
→エッセイ「人の人生に立ち会う仕事」
→エッセイ「りかさんになる覚悟」
→エッセイ「心に寄り添うことの位置付け」