分析の手法

『物理学者のすごい思考法』(橋本幸士著、インターナショナル新書)
を読んでいます。

理系科目への苦手意識を少しでも払拭したい、という思いで手にした本ですが、著者の洒脱な文章のおかげで、非常に面白く読むことができています。

カバー裏から
「物理学者は研究だけでなく、日常生活でも独特の視点でものごとを考える。通勤やスーパーマーケットでの最適ルート、ギョーザの適切な作り方、エスカレーターの乗り方、調理可能な料理の数・・・。著者の『物理学的思考法』の矛先は、日々の身近な問題へと向けられた。」

ひとつの物事を見るのでも、こんな視点から分析する人もいるんだな、という驚きがある本です。

これで思い出したことがありました。

以前、ある公認会計士さんからの紹介で、大きな破産申立事件を担当しました。
方針を検討するために、私が、取引先と破産者の関係について、ホワイトボードに図を描いて説明した場面。

公認会計士さんは、「なるほど、ちょっと待ってね。私なりに整理するからね。」と言って目をつぶります。
5秒後、目を開けられた公認会計士さんは、ホワイトボードに、3枚の仕訳伝票を描かれました。
「これが、こっちに行って、それがこうなって、最終的にこうなる。っていうことかな?」

取引先と破産者の関係が、見事に分析されていました。

では、私がホワイトボードに描いた図には何が書かれていたか。

それは、矢印です。

弁護士には、人と人の間や、人と不動産などの間に、権利・義務という矢印が見えます。
どんな複雑な事案でも、この「権利・義務の矢印」で分析することができます。
これができれば、あとは、矢印では描ききれない、依頼者の思いを聴き取ることに専念します。

自分の分析手法が当たり前だと思っていましたが、専門家ごとに違うもんだなと、驚きと感動を覚えた出来事でした。

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