イチ推しの本

「お勧めの本がありましたら紹介してください。」

私がある方に、「ホームページで、読書感想文を、エッセイとして書いています。」と伝えたところ、その方が、冒頭のように言ってくれました。

この方は、私が担当している遺産分割事件の、「相手方」に当たる方です。

何度か電話で話して、その後、長文のショートメールをやり取りしているのですが、

・落ち着きがあって、
・私が説明している間も、丁寧に聴いてくださって、話し易く
・ご質問やご指摘が的を射て、
・一度説明すれば、その方の察しが良いものですから、円滑に話が進みます。

そして、その方は、長兄として、妹さん弟さんを代表して私と接触してくれて、私が述べたことを、適切に、妹さん弟さんに伝え、意見を取りまとめてくれます。
妹さん弟さんからの信頼が篤いことが窺われます。

さらには、当方の依頼者のことも慮ってくださる心の温かさもある。

事件の相手方で、ここまで、ストレスフリーでやり取りできる人は、非常に稀です。
私は、この方に電話したり、この方とショートメールのやり取りをするのが、楽しみでたまりませんでした。

事件に関する交渉も終了し、これまでのご対応への感謝を述べた後で、思い切って、「〇〇さんとやり取りすることが楽しみでした」と告白。

すると、その方が、

「私も、最初は弁護士という肩書きに警戒していましたが、話しているうちに、『何だかいいヤツ』に変わりました。」

と、言ってくださったのです。

相思相愛(笑)。

調子に乗って、「今後もよろしくお願いします。ついては、私、ホームページでこんな文章を毎月載せてまして…」
と、冒頭のやり取りに至った次第。

ところが、ここで、私の手が止まってしまいました。

去年は、読了108冊。
うちSランクも42冊ありましたから、面白い本は、なんぼでも知っています。

けれども、この方のことが大好きで、薦めるからには喜んで欲しい、と思えば思うほど、肩に力が入ります。

理知的だけれども、優しくて温かくて、頼りがいのある、私より8歳上の男性
と情報を盛り込み始めると、何を薦めればいいのか、どんどん分からなくなってきます。

この方に、「いつもは、どんな本を読まれますか?」と訊いてみようか、などと考えながら、私の思考は、あれ?と立ち止まりました。

最近読んだ本の中で、どんな人にも薦められる本って、何やろ?

以前は、
「みをつくし料理帖シリーズ」(高田郁著、ハルキ時代文庫)10巻+別巻2
やった。

20人くらいに薦めて、うち15人くらいには、第1巻
『八朔の雪』
を、「気に入ったら、続きはご自分で買って読んでくださいね。」と言ってプレゼントした。
ほとんどの人が続きに進んでくれて、僕が分かってるだけでも、5人が全巻読破してくれた。

今でも、「みをつくし料理帖シリーズ」を薦めることはできるけど、最近読んだ本の中で、これに匹敵するくらい、誰にでも薦められる本、ないかな~。

と、風呂に浸かりながら、考えていて、思いつきました。

「そや!青山美智子さんや!
僕は、青山美智子さんの本が世の中に広まってほしいと思ってる。今のイチ推しは、これや!」

次にあの方に連絡する機会が、もう少しすれば訪れるから、その時に、青山美智子さんの本をお薦めしよう!
と決めました。

すると、その翌々日に、その方から、ショートメールが届いたのです。

「ホームページから吉森さんのエッセイを覗かせていただきました。その中で目に止まった、青山美智子さんの『木曜日にはココアを』を読んでみました。私も、このような心暖まる作品が好きです。…既に、『月曜日の抹茶カフェ』も購入してあります。」

何たる偶然!何たる相性!

あの方が良いと言ってくださる。
やっぱり青山美智子さんの本って、良いんや!

いつでも贈呈できるように、『木曜日にはココアを』を5冊買ってきました。
推しまくります!

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