優しくなる本

青山美智子さんの小説にハマっています。

青山美智子さんを知ったのは、テレビ番組「あの本、読みました?」でした。

(放送内容より)

青山さんは、小説を書く際に決めていることがあります。

① 作中で人が死なないこと
② 必ずハッピーエンドであること

どちらも、現実の社会ではあり得ないことであり、そういう意味では、自分が書いているのはSFだと思うが、それができるのが小説の良いところ。

また、「ハッピーエンド」とは言っても、「エンド」までは書かないようにしている。
「ハッピー」な光が見えてきた所で止めて、その後の「エンド」は読者に任せる。

などなど、会話から優しさがあふれていました。

私は、気分転換が下手なので、仕事以外で読む本は、弁護士やら犯罪やら相続・離婚やらが出てこない物を選んでいます。
推理小説やサスペンス物はほとんど読みません。
そういう観点からすると、青山さんの決め事①②は、ピッタリなのではないか。

そう思って、青山さんのデビュー作だという

『木曜日にはココアを』(宝島社文庫)

を買って読んだら、もう最高!

1編あたり15~20頁の連作短編12編で構成されています。

どれも、悩んだり、打ちひしがれたりしている主人公が、小さなきっかけで、気持ちが切り替わり、顔を上げ、前を向いて一歩踏み出す様子が描かれています。
しんどい時にも、他人のことを慮って、自分を省みることができる。

そんな主人公に触れて、読んでいる途中や、読み終わったすぐあとには、自分の人当たりが柔らかくなっているような気がしました。

すぐに、続編である

『月曜日の抹茶カフェ』(宝島社文庫)

を買って読みました。

やっぱり良い。
良いからこそ、一気に読み切ってしまいます。

でも待てよ?これは使えるんじゃないか?

仕事で心がささくれた時に、事務所の執務机で、1編だけ読む。
20頁程度であれば、15分くらいで読めます。
心のささくれが修復され、気持ちが落ち着き、深く息をすることができるようになります。
その状態で、依頼者に電話したりすると、穏やかに話すことができます。より深く、依頼者の心情をくみ取れるような気がします。

味をしめて

『猫のお告げは樹の下で』
『鎌倉うずまき案内所』
『ただいま神様当番』(いずれも宝島社文庫)

をまとめて買ってきました。

どんな時も依頼者に穏やかに接することができるよう、1編ずつ大切に読みます。

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