言葉を大切にする仕事にまつわる小説を読みました。
『舟を編む』(三浦しをん著、光文社文庫)です。
辞書の編纂に携わる人のお話です。
三浦しをんさんは、『風が強く吹いている』(新潮文庫)、『仏果を得ず』(双葉文庫)など小説ももちろん秀逸ですが、日々の妄想を書き付けたエッセイも最高で、大好きな作家さんのひとりです。
辞書は、私の仕事でも、必須の道具です。
言葉の正しい意味を確認するのはもちろん、言い回しを調べるためにも使います。
・この場面で使うべきは、「なおざり」か「おざなり」か
・「二の足」は「踏む」もの、「二の舞」は「演ずる」もの
などなど。
特殊で難解な言葉は、広辞苑を引きますが、日常で使う言葉は、国語辞典の方が機動的です。
私は、執務机の手を伸ばせば届く位置に、『新明解国語辞典』(三省堂)を置いています。
勤務弁護士時代に、ボスから、「この言葉、別の言葉に言い変えられないかね。」と話しかけられて、それぞれが違う辞書を引きながら、「こんなんどうですか?」「こっちの方がニュアンスが近いかも。」と、書面で使う言葉選びに知恵を絞ったことが思い出されます。
『舟を編む』を読んで、辞書を編纂する方の思いや専門性の高さに触れて以来、辞書を引く回数が増えました。
これからも、言葉を大切に、仕事をしていきます。