『噫(ああ)無情(前編・後編)』(ヴィクトル・ユゴー著、黒岩涙香訳、はる書房)
を読みました。
『レ・ミゼラブル』ですね。
私、岩波文庫の『レ・ミゼラブル』は、これまでに、第1巻の初め数十頁で、2度挫折していました。
世界的名著ですから、読んどいた方がええんやろな、と思い続けてきました。
が、最近になって、読めない理由が絞れてきました。
如何に定評のある訳であっても、逐語訳を目指したものは、どうしても翻訳文体になります。
漢文体が大好きな私にとっては、非常に辛い。
読んでいて、奥に関係代名詞が見えたりすると、それが雑音になり、物語世界から引き戻されてしまいます。
私、この5年間で400冊ほど読んでいますが、そのうち、外国文学の翻訳物は、わずか3冊です。
それも、「もうちょっと、こなれた翻訳できへんもんかな。」と、ぷりぷり怒りながら読みました。
もう海外の名著は、縁ないものと諦めて、最近は、専ら漢文体の小説や、中国史の歴史書などを耽読していました。
他方で、黒岩涙香の名前は、書物に関する本の中で見て、メモを残していました。
明治に、「萬朝報(よろずちょうほう)」という新聞を発行。
連載小説として、『レ・ミゼラブル』『モンテクリスト伯』の翻訳を掲載した。
旧漢字・旧かな使いの文語体。
これは、一度、読んでみたい。
でも、明治に発刊されたものだから、図書館にあったとしても、書庫資料で、ボロボロのはず。今度、中央図書館に行った時に、チラッと見せてもらおうと思っていました。
先日、行けそうだったので、図書館のホームページで蔵書検索をしてみました。
すると、明治39年(1906年)に発刊された単行本の他に、平成17年(2005年)に、はる書房という出版社が、「世界名作名訳シリーズ」として、復刊したものがありました。
しかも、それは、旧漢字・旧かな使いの文語体は変えずに、総ルビにしてくれているとのこと。
すぐに借りて読み始めたら、もう止まりません。
文語体の格調が高い、リズムが良い、逐語訳でないからモタモタしないし、原作の冗長な部分はバッサリ切り捨てているからスピード感にあふれています。
ハラハラドキドキしながら一気に読み切り、『レ・ミゼラブル』の名著たることを認識しました。
その後に読んだ
『完本 文語文』(山本夏彦著、文春文庫)
でも、絶賛されていました。
次は、同じシリーズから出ている『巌窟王』に進むつもりです。楽しみです。