書店員さんの専門性を感じるようになったのは、
『THE BOOKS』
『THE BOOKS green』
(いずれもミシマ社)
という本に触れてからです。
これは、ミシマ社という京都の出版社(ここがまた出版業界への思いがアツイ会社なんです。そのことはまた別の機会に。)が、取引のある全国の書店の書店員さんに執筆を依頼したものです。1人に1冊(オマケでもう1冊)、本を推薦する文章を書いてもらったものをまとめています。
それぞれ、365人の書店員さんが登場します。
『THE BOOKS』は大人に推薦するもの。
『THE BOOKS green』は中高生に推薦するものです。
それまで、私は、書店員さんのことを、
・単に機械的に本を棚に並べる人
・単に機械的にレジを打つ人
としか思っていませんでした(失礼)。
けれど、本屋さんを取り巻く環境についての本を、いくつか読むうちに、本屋さんの本棚が、いかに知的に創造されたものかを知りました。
限られた空間に、どの本を、どう並べれば、より多くの人に買ってもらえるか。
お客様の動線と目の動きを計算して、
・棚に並べるのか、
・平積みにするのか、
・フェア台を作るのか。
売れ筋の本を入荷して沢山売ることも、書店の経営としてはもちろん大切。
けれど、派手さはなくても長く読み継がれてほしい本を、切らすことなくそっと1冊忍ばせておく。
本屋さんの本棚には、書店員さんの、様々な知的作業と思いが詰まっていたのでした。
そして、
『奇跡の本屋をつくりたい』(久住邦晴著、ミシマ社)
という本の中で紹介されていた
『THE BOOKS』
『THE BOOKS green』
にたどり着いたのです。
これは、本に対する思いがあふれている書店員さんが、「どれか1冊と言われたら、これ!」と、渾身の1冊を薦めてくれている本ですから、良い本に巡り会える確率が非常に高い。
『壬生義士伝』(浅田次郎著、文春文庫)
は、タイトルは知っていましたが、『THE BOOKS』で薦められていなかったら、手に取りませんでした。
歌人、エッセイストの穂村弘さんのことは、『THE BOOKS』で初めて知りました。
『にょっ記』(文春文庫)
から始まり、
『にょにょっ記』(文春文庫)
『にょにょにょっ記』(文春文庫)
と進んで、結局、各社から出版されているエッセイ集を10冊以上買いました。
特に、
『本当はちがうんだ日記』(集英社文庫)
に収録されている「タクシー乗り場にて」は、再読、三読、いよいよ良しです。
その他にも、たくさんの「S」「A+」に出会うことができました。
どれも、薦めてくれた全国の書店員さんに直接会ってお礼を言いたいくらい、感謝しています。
専門性って、大事ですよね。