小説『しゃべれどもしゃべれども』(佐藤多佳子著、新潮文庫)を読みました。
「二つ目」の噺家さんが主人公です。
<以下、ネタバレを含みます>
なりたい自分があって突き進んでるんだけれど、ある時、現実の自分との差に直面して、落ち込んで、もがいて、色んな人に触発されて、奮い立って、また成功目指してひたむきに努力する。
私、こういう物語が大好きです。
最近読んだものでは、
『風が強く吹いている』(三浦しをん著、新潮文庫)
『本日は、お日柄もよく』(原田マハ著、徳間文庫)
が、これに分類されると思います。
そして、私の歴代1位(本日時点)の小説
『八朔の雪』〔みをつくし料理帖シリーズ(全10巻+2巻)、髙田郁著、ハルキ文庫〕
が、まさにこの分野です。
『しゃべれども…』の中の一節にシビれました。
「今の自分をセコだと思うのは、まあ良かった、これからの自分が、どこまでいっても、やはりセコかもしれない、才能もセンスもなくて永久に上達しないと考えるのは恐ろしかった。心臓のあたりが痺れるように冷たくなる。何か保証のようなものが欲しい。俺は大丈夫なのだと、きっとうまくなる、きっと売れるという自信のかけらでもいい、欲しい。」
主人公の心の動きに共感して、一緒に落ち込んで、一緒に奮い立って、いつしか自分も前向きな気持ちになる。
そんな小説に励まされながら、私も、ひたむきに努力しています。