私がプロフィール欄に記載している「非常勤裁判官」って何ですか?というご質問を、よくいただきます。
非常勤裁判官は、弁護士の登録をしたまま、週に1日だけ、裁判官として勤務する人のことです。
私は、毎週火曜日だけ、朝から夕方まで、家庭裁判所に勤務していました。
これは、法曹三者の交流を図ることを目的として導入された制度です。
司法試験に合格すると、司法研修所で、(私のときは1年4か月間)研修を受けながら、卒業後に、裁判官、検察官、弁護士(「法曹三者」)のどれになるか、就職活動をします。
就職してからは、それぞれの内部で、養成され、経験を積んでいくのが基本です。
なった後の姿を見ると、それぞれバラバラのようですが、法曹三者は、同じ試験に合格し、同じ研修を受けて法曹になったという根っこの部分での信頼関係があります。
であれば、法曹になった後も、互いに交流することで、その信頼関係を維持すべきだ、という発想から、「法曹一元化」という考えが生まれます。
裁判官・検察官から弁護士へのベクトルは、よく知られていますね。
裁判官・検察官を退官した人の多くが、弁護士登録をします。
裁判官・検察官が、新人のうちに、「他職経験」として、一定の期間、弁護士事務所で仕事をする制度もあります。
これに対して、弁護士から裁判所へのベクトルが「常勤・非常勤裁判官(弁護士任官)」です。
裁判所は、弁護士として在野経験を積んだ優秀な人を裁判官として採用したい、という思いを持っていて、一定の要件を満たし、面接等に合格した弁護士を裁判官として採用しています。
これを「常勤裁判官」といいます。
もっとも、いきなり弁護士登録を消して裁判官になるのは難しかろう、という訳で、まずは週に1日だけやってみる。
これが「非常勤裁判官」です。
非常勤裁判官は、家庭裁判所、簡易裁判所、地方裁判所で、調停を担当します。
大阪家裁では、現在、12人ほどが非常勤裁判官として活動しています。
平成16年から始まって、これまでに約50名を輩出しています。
任期は2年で、1回更新できます。
私が採用された翌年から、離婚事件集中部だけでなく、相続事件集中部でも、非常勤裁判官を置くことになりました。
私は、運良く、更新時に異動し、離婚を2年、相続を2年、経験することができました。
離婚の係では170組の夫婦の案件を担当し、相続の係では100件の相続紛争を担当しました。
ここまでやると、何が来ても怖くなくなります。
そこで、現在は、相続・離婚に特化して、弁護士業務を行っています。
得難い経験を積むことができたことへの感謝を表すために、非常勤裁判官制度の今後ますますの発展をお手伝いしようと思っています。