『輪違屋糸里(上)(下)』(浅田次郎著・文春文庫)
『一刀斎夢録(上)(下)』(浅田次郎著・文春文庫)
を読みました。
浅田次郎さんの新選組三部作の第2作、第3作です。
第1作の
『壬生義士伝(上)(下)』(文春文庫)
を読んだのは、5年ほど前のこと。
これは、今も、私の「生涯ベストテン」に入っています。
『蒼穹の昴1~4』(講談社文庫)
もそうだったのですが、浅田次郎さんの小説は、読み出すと止まりません。
これまでは、「上手いんよな~」程度にしか分かっていませんでしたが、最近、長編小説を分析的に評価する基準を教わりました。
『文学のレッスン』(丸谷才一著・新潮文庫)
の53頁以下に大要、以下の3点から分析することが提案されています。
① 作中人物が魅力的であること
② 文章(語り口)が上手いこと
③ 筋(ストーリー)が面白いこと
浅田次郎さんの上出4作品は、歴史物ですから、③の筋には、制限があります。
そうでありながら非常に面白いのは、①②が圧倒的なのでしょう。
この構図は、
『武王の門(上)(下)』(北方謙三著・新潮文庫)
『楠木正成(上)(下)』(北方謙三著・中公文庫)
でも同様です。
どちらも、歴史上は敗者に分類されるのですが、作中人物が、惚れ込んでしまうほど魅力的に描かれています。
そして、私がみなさんに薦めている
「みをつくし料理帖シリーズ」(高田郁著・ハルキ時代文庫)
を改めて分析してみると、この①②③が高い水準で三拍子揃っているのだと思います。
分析の基準ができたことで、さらに小説が面白くなりました。