『おじいちゃんのコート』(ジム・エイルズワーズ文、バーバラ・マクリントック絵、福本友美子訳、ほるぷ出版)
を友人に贈呈しました。
この絵本には、7年ほど前に出会っていました。
当時、図書館で借りた数百冊の中に含まれていました。
とても感動したのに、返却した後でタイトルを忘れてしまっていました。
先日、隆祥館書店で、
吉森「探している絵本があるんですけど。」
店主「タイトルは分かりますか?」
吉森「いえ、分かりません。こんな、あんなストーリーで。」
という会話から、店主さんがネット検索で見つけてくれました。
取り寄せてもらって購入し、読むと、やっぱり良い。
と同時に、ある人に贈呈したいという思いがムクムクと起こってきました。
その人は、私と同じ大江ビルヂングの地下で、オーダーメイドスーツ(ビスポークスーツ)店を営んでいる友人です。
まだ30代ですが、イタリアとイギリスで何年も修行をした腕前で、最初から最後まで一人でスーツを仕上げてくれます。
小さなお子さんがいるのを知っていましたから、その子達にという理由で、その人にこの絵本を手渡したい。
けれども、ここから、かなり逡巡しました。
・仕立て屋さんが主人公の本を、仕立て屋さんに贈呈して、喜んでもらえるのか(ちなみに、私は、弁護士が主人公の本や、相続・離婚がテーマの小説などは、基本的に読みません。)。
・それでなくても、本の贈呈は、価値観の押し付けになってしまいかねません。
・さらには、シュッとしてパリッとしている友人に、こんなねっちょりした感じで贈呈しても、嫌がられるんじゃないか。
などなど。
何日も迷っていましたが、ある日、たまたま、お店に遊びに来た奥さんとお子さんに、ビルの廊下で出くわしました。私は、反射的に声をかけて、絵本を手渡しました。
その翌日、また奥さんと廊下で顔を合わせました。
奥さんが声をかけてくれました。
「昨日、ありがとうございました。子ども達もですけど、主人がすごく気に入って、『俺、こんなおじいさんになりたい。』って、言っていました。」
ドキドキしながら渡した分、涙がにじむ程、嬉しゅうございました。
自分が良いと思う本を、友人も良いと思ってくれる。
もう、最高です!