『13坪の本屋の奇跡』

久し振りに出ました、エッセイのタイトルが書名です。

『13坪の本屋の奇跡』(木村元彦著、からころ)

を読みました。

心が震えました。

副題が付いています。
「闘い、そしてつながる」隆祥館書店の70年

この本は、大阪の谷町六丁目にある、隆祥館書店を描いたノンフィクションです。

<以下、ネタバレを含みます>

「ランク配本」
「見計らい配本」
「同日入帳」
など、独立系の小さな書店を苦しめ廃業に追い込んできた出版流通の問題が、先代・当代店主の闘いを描くことで、解き明かされています。

巨大で優越的地位にある取次に対し、声を上げることすら、はばかられる状態で、しかし、先代店主は、「おかしい!」と声を上げ、何年もの歳月をかけて風穴を開けます。

当代店主も、また違ったやり方で、発信し続けています。

本に対する思い、書店業に対する思い、そしてお客様に対する思いの強さが迫ってきます。

これは、究極の「本屋本」です。

当代店主さんが、ラジオ番組でお薦めの本を紹介した時のことが紹介されています。
隠れた名著で、隆祥館書店が日本一の販売数を誇っていた本でしたが、ラジオ番組が放送された直後から、その本がアマゾンで売れ続け、アマゾンがその本の販売数日本一になってしまったそうです。

私は、アマゾンで本を買ったことがありません。

聞くところによると、アマゾンで本を注文すれば、1冊でもすぐに自宅に配達されるようです。

しかし、私は、そのこと自体に抵抗を感じます。
わざわざ私に1冊の本を届けるために、ガソリンを焚いて、環境負荷をかけてしまうのです。

今、日本で一番売上が上がっている書店は、(ほとんど日本に法人税を払わない)アマゾンだそうです。

もちろん、書店がない地域にお住まいの方にとっては、致し方ないことでしょう。

しかし、私は、梅田という大阪の中心地で仕事をしています。
近隣には、大中小さまざまな書店があります。
目当ての本が仮に本棚に無くても、予約してから1週間もかからずに、書店で本を買うことができます。

書店で本棚を眺めることの楽しさは、ビッグデータで示される「あなたにお薦めの本」のスクロールとは比べ物にはなりません。

私は、実店舗の本屋さんで、本を買います。

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