教え導くこと

『青年の思索のために』(下村湖人著、新潮文庫)

を読んでいます。

下村湖人といえば、『次郎物語』ですが、私は読んでいません。
5年ほど前に、『論語物語』(講談社学術文庫)は読みました。
いろいろと挑戦してきた論語関連の本の中で、初めて読了できた本でした。

昨年、お使いの帰りに寄り道した新古書チェーン店の100円均一箱で『青年の…』を手に取りました。

昭和30年に発刊された新潮文庫でした。

字は小さく、紙も変色が進んでいましたが、冒頭部分を読むと、丁寧な語り口で、誠実に語りかけているのが分かり、購入しました。

1編が1~2頁と短いものも多いのですが、どんどん読み進めるのではなく、1日1編にとどめ、その内容について考えるよう心掛けています。

3分の1ほど来たところで、

「五つの道――ある母の会での話――」

という1編に行き当たりました(76頁)。

<以下、ネタバレを含みます>

「子供に富士登山をやらせたい親があるとします。
親の考え方次第で、それにはいろいろ方法がとられるのでありましょう。」

と始まり、五つの方法が語られます。

(以下、抜粋します)

第一は、親がその子供を「背中」におんぶしてのぼることです。

第二は、親が先に立って、子供をあとからついて来させることです。

第三は、親が子供にくわしく道を教え、それを十分覚えこませて登らせることです。この場合、親はいっしょについては行きません。

第四は、親が子供といっしょになって、登山道を研究しながら登ることです。この場合、親は出来るだけ子供を先に立てて歩かせます。

第五は、親が子供に、富士登山を勧告するだけで、おんぶもせず、引っぱって行くのでもなく、また、道を教えたり、地図を与えたりするのでもなく、何もかも子供自身の意志に任しておくやり方です。

著者は、
「さて、この五つの方法を広く子供の教育ということにあてはめて考えて見ましょう。」
と続けます。

「このうち最も教育的なのはいずれか」

……著者の考えは、現に書籍を手に取って、確認してください。

(絶版か出版社品切れになっているようですので、古書店か図書館で入手してください。電子書籍化されていたり、復刊されていたりもするようです。)

この話、子供の教育にとどまらず、社員教育や、スポーツの技術指導など、教え導くあらゆる場面で、示唆に富むと思います。

今後も、じっくりと思索します。

この記事を書いた人