おじさんの本

いつぞやのエッセイで、「頑固オヤジのボヤキは要らんわ」とか言いましたが、好きで読み続けているおじさんが何人かいます。

みなさん、結構な数の書籍を発刊していて、文庫版は、既に出版社品切れのものが多い。そのため、古本マニア心もくすぐられます。

以下、おじさん達との出会いと、読了した文庫を記します。

<丸谷 才一(まるや さいいち)さん>
1925年生まれ

『完本 日本語のために』(新潮文庫)
大阪駅前第3ビルの古書店で購入。
「国語教科書批判」や「小林秀雄の文章は出題するな」など、世間で良いとされているものを、バッサバッサと斬ります。
「日本語のために」「国語教科書を読む」の各評論も説得力があり、こういうことを言う人の文章なんだから間違いないはず、と安心して読めます。
ここから、私の丸谷才一さんが始まりました。

『文学のレッスン』(新潮文庫)
『絵具屋の女房』(文春文庫)
『思考のレッスン』(文春文庫)
『輝く日の宮』(講談社文庫)

<高島 俊男(たかしま としお)さん>
1937年生まれ

『お言葉ですが…』(文春文庫)
大阪駅前第3ビルの古書店で購入。著者の専門は中国文学ですが、日常の日本語表記や表現について物申すエッセイがまとめられています。
どれも納得できるものですし、切り口も面白い。こういうことに意識のある人の文章なら安心して読める。
ということで、私の高島俊男さんが始まろうとしています。

<出久根 達郎(でくね たつろう)さん>
1944年生まれ

『あったとさ』(文春文庫)
大阪駅前第3ビルの今は無き古書店で購入。
「古書店主で直木賞作家」という紹介を読んで、初めは嫉妬するばかりでしたが、読むと、本好きにはたまらない、本にまつわる面白い話が満載。
文章も、「漢文体、和文体、翻訳文体」で分ければ、「漢文体」なのか、軽薄なところがなく、丁寧さを感じます。
ここから私の出久根達郎さんが始まりました。

『出久根達郎の古本屋小説集』(ちくま文庫)
『本の身の上ばなし』(ちくま文庫)
『漱石を売る』(文春文庫)
『古本綺譚』(中公文庫)
『猫の縁談』(中公文庫)
『本のお口よごしですが』(講談社文庫)
『いつのまにやら本の虫』(講談社文庫)
『御書物同心日記』(講談社文庫)
『作家の値段』(講談社文庫)

<岡崎 武志(おかざき たけし)さん>
1957年生まれ

『古本生活読本』(ちくま文庫)
南海電鉄高野線の九度山駅構内にたまたま出店していたおにぎり屋さんの片隅に設置されていた「ひと箱古書店」数十冊の中にありました。
ちくま文庫であることから手に取って、古本愛好家のエッセイであることが分かり、購入。
表紙をめくったタイトル頁に、赤鉛筆と青鉛筆で、織田作之助の肖像が、サラサラっと描かれています(上手い!)。著者独特のサイン本です。
ここから、私の岡崎武志さんが始まりました。

『古本でお散歩』(ちくま文庫)
『古本極楽ガイド』(ちくま文庫)
『古本病のかかり方』(ちくま文庫)
『女子の古本屋』(ちくま文庫)
『読書の腕前』(光文社知恵の森文庫)
『読書で見つけた こころに効く「名言・名セリフ」』(光文社知恵の森文庫)
『蔵書の苦しみ』(光文社知恵の森文庫)
『古本道入門』(中公新書クラレ)

以上、おじさんは皆さん、まずもって文体が良い。
軽薄さがなく、ずっと触れていたい文章です。

この記事を書いた人