縁あって、主要な出版社の文庫本の解説目録12種類を、一度に見ることができました。
運が良ければ、大型書店のレジ横に置いてあって、自由に持ち帰ることができるやつです。
以前から、「ちくま文庫・ちくま学芸文庫 解説目録」は、手元にあって、よく見ていたのですが、今回、他社のものも見て、あることに気付きました。
それは、「出版社品切れ」本を解説目録に載せている出版社が少ないことです。
愛読書と化していた「ちくま文庫・ちくま学芸文庫 解説目録」には、「品切れ一覧表」なるものまでありましたから、てっきりそれが普通だと思っていました。
しかし、今回見た中で、「出版社品切れ」本を載せているのは、「ちくま…」以外には、「講談社学術文庫 解説目録」だけで、他は、現在書店で入手できる書籍だけを掲載していました。
なお、中公文庫は、無料の解説目録には「出版社品切れ」本は載っていませんが、有料の「中公文庫解説総目録」には載っています。
ちなみに、「品切れ」には、「書店品切れ」と「出版社品切れ」の2種類ありますが、両者は全然違う概念です。
単なる「書店品切れ」は、その書店に在庫がないだけの話で、取次か出版社には在庫があるかもしれません。
取次に在庫があれば2~3日で、取次になくても出版社にあれば10日~2週間で、取り寄せることができます。
これに対して「出版社品切れ」の場合は、今、取次や書店にあるものがすべてで、重版・増刷されない限り、それ以上は市場に出ません。
ちなみに、「絶版」は、出版社が、金輪際、印刷しないことに決めて、出版する権利も手放したことを意味します。
この「出版社品切れ」というのが、収集欲を掻き立てます。
今、書店に並んでいるものを買っておかないと、もう出会えない。
新刊書店から既に消えているのであれば、古書店で出会ったのが運命の時です。
そんな希少性の高い本が、一覧表になっていたりすれば、集める目標が見え易くなる訳で、さらに意欲が高まります。
そして、「積ん読」の増加にまっしぐら!(スミマセン)
という笑い話(笑えない話)は措いても、やはり「出版社品切れ」本も、解説目録に入っていて欲しい。
今まで出版された文庫が網羅された中で、どれが「出版社品切れ」なのかが明らかであってこそ、重版・増刷を求める声も上げられるというもの。
これこそが、知の蓄積=文化の形成、なのだと思います。
これが載っているのが、私のお気に入りの「チチカカコヘ」のうち
・ちくま文庫
・中公文庫
・講談社学術文庫
だったことがとても嬉しい。
さすがは、教養文庫!
文化の形成に貢献しています。