『読書狂(ビブリオマニア)の冒険は終わらない!』
(三上延・倉田英之著、集英社新書)
を読みました。
三上さん、1971年生まれ。『ビブリア古書堂の事件手帖』の作者。
倉田さん、1968年生まれ。『R.O.D―READ OR DIE―』の作者。
ともに、本が好き、本について語るのも好き、近い年代で、本をテーマにした小説を書いている、という共通点の多い二人が、自分の好きな本について語り合います。
しかし、「隠れた名著を教えてあげましょう」という王道のブックガイドではありません。
飲み屋で隣席の男二人が話していて、聞き耳を立てたら結構面白かった、ぐらいの話として書かれています。
そして、「本の専門家ではないけれど、本好きをこじらせた人。そんな同類の仲間が時々開きたくなるような本になることを願って」作られています。
<以上、「まえがき」「あとがき」より抜粋>
私が、本好きをこじらせ始めたのは、ここ4~5年ほどのことで、読書量はもちろんお二人には遠く及びません。特に、海外の翻訳物は、全くと言っていいほど読んでいません。
けれど、私が1969年生まれと年代が同じだからか、時代背景がすんなり理解できました。また、本自体や本屋さんが好きという点に関して、自分にも一家言あることを再認識できました。最後までとても楽しく読めました。
特に、
「僕らの理想の書店とは」(203頁以下)
「本に対する生理」(209頁以下)
は、「僕も寄せて~」と、話に入っていきたいほど面白い。
<以下、ネタバレを含みます>
「僕らの理想の書店とは」
の中の、
「棚を作った人の個性が感じられる本屋って、いい本屋だと思うんですよね。」
「労力をかけてるかどうかは、本屋を利用するほど、よく分かりますし。『ああ、この作家とこの作家、親交があるから並べてるんだな』とか。」
「本屋の店員さんと見えないキャッチボールしているような感じなのかな。」
の部分など、「そうそうそう!」と目を輝かせながら読みました。
私も、そういう本屋さんは、棚の間をニヤニヤしながら歩いてしまいます。
ちなみに、私は、自分の本棚を耕すのが好きです。
例えば、太宰治と織田作之助と坂口安吾は、もちろん並んでいて、太宰治の横には井伏鱒二を、太宰治の反対側に三島由紀夫を並べます。
志賀直哉は太宰治から相当遠い所に並んでいるのですが、その横には芥川龍之介、夏目漱石がいます。
また、三浦しをんの横には、岸本佐知子、吉田篤弘。
原田マハの横には、ヤマザキマリ。
などなど、みんなが居心地の良いように並べています。
読み終わった本を、本棚のどこに並べるか迷った挙句、それまでよりも良い並べ方を思い付いて、大きく移動させたりするのが、至福なのです。
『読書狂(ビブリオマニア)の冒険は終わらない!』で紹介されている本はもちろん、著者お二人の著書にも興味がわいてきました。